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米国の化粧品に関する諸規則の将来

更新: 2019年9月21日、2019年安全な化粧品及びパーソナルケア製品に関する法案(The Safe Cosmetics and Personal Care Products Act of 2019)が再提出された。

事業規模が数十億ドルに上る米国化粧品産業が、急速に発展している。化粧品を管轄する当局、FDAのデータ・ダッシュボードの報告によれば、2018年会計年度内に米国に輸入された化粧品は270万アイテムを超える。しかし、この膨大な化粧品の輸入量は、同時に課題をもたらしている。というのも、現行の規則やリソースでは当局が有害なおそれのある化粧品の米国内での流通を阻止するには限界があるからだ。

2018米国会計年度、FDAが検査できた品目は最大でわずか5,403(1%以下)であった。また、検査後に違反を理由に米国への輸入を拒否された品目は784(14.5%) に上る。未検査貨物から、規則違反や規制を逃れた有害な製品が数多く流通した可能性がある。

一方、米国内で生産された商品は市場出荷前の事前審査の対象ではないため、別の課題が浮上している。2018年4月、ロサンゼルスの詐欺団が、米国セレブ、カイリー・ジェンナーが展開するブランド名を使って「排泄物入り」の化粧品キットを販売していることが分かった。この事件を機に、ジェンナーの姉、コートニー・カーダシアンはロビー活動を通じて化粧品規制を厳しくするよう関係省庁に働きかけた。

積極的規則のための解決案

現行のFDA規則は対症療法的であり、商品が国内で流通してから、適合問題に対処している。FDAは不適合化粧品に対しては入港時に警告状で輸入を拒否できるにも拘らず、連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C)では、当局に化粧品を強制的に回収させる権限を付与していない。

FDA管轄下の他の製品、例えば、食品、医療機器、薬品などにはより積極的な規則が適用されている。これらの商品は製造販売届と施設要件が義務づけられているため、当局が不適合製品の米国への流入を食い止め、また流入した場合でも、より的確な規制措置を取ることが可能である。

化粧品に対しても同様の規則を適用するため、米国議会は過去二年間で三法案を上程した。パーソナルケア製品安全法案(Personal Care Products Safety Act)(S.1113)、食品医薬局・化粧品の安全性と近代化に関する法案(FDA Cosmetic Safety and Modernization Act)(S.2003)そして、最近の2018年度安全な化粧品とパーソナルケア製品に関する法案(Safe Cosmetics and Personal Care Products Act of 2018)(H.R.6903)これらの法案は委員会に付託され、採決には至っていないが、米国の化粧品に関する規則の今後十年の方向性を明示する共通の要素を持つ。本章では、いずれかの法案が立法化された場合の化粧品産業の主な変化について論議する。

化粧品関連施設の届け出義務化法案

FDAは管掌下にあるほとんどの事業者に対して、米国で販売活動を開始する前に当局への事前登録あるいは報告を義務付けている。化粧品関連企業については、現行の規則で登録の必要はないが、任意の登録は可能である。

現在上程されている法案では製造、加工処理、あるいは(場合によっては)米国での使用を目的として販売する施設はFDAへの登録が義務付けられている。S.1113法案とH.R.6903法案では毎年登録を更新する必要があり、S.2003法案では二年ごとの更新が義務付けられている。また、三法案すべてにおいて、米国外に施設を有する企業がFDAと米国外施設に代わって直接交渉できる窓口を米国内に置くことが義務づけられる。

化粧品関連施設の登録の義務付けでは、FDAが米国内での販売業者の記録を把握し、当局に化粧品の拘束あるいは未登録業者からの製品を拒否する権限が付与される。この三法案のうち一つでも立法化されれば、FDAは規則違反施設の登録を一時的に取り消し、即刻米国内での製品販売を禁止することになる。

さらに、S.1113法案およびH.R.6903法案では年間平均総販売高200万ドルから1000万ドル以上の企業に対して登録料の一部として年間料金の支払いを要求することになる。料金は企業の年間総販売高に基づいて計算される。

化粧品の成分表示

S.1113法案とH.R. 6903法案が成立すれば、化粧品施設は米国で販売しようとする各製品について成分表示が義務付けられることになるであろう。成分表示とは、他の様々な要件とともに、化粧品製造施設に関する情報と化粧品の成分および成分に関する危険性の表示が義務づけられであろう。S.1113法案のもとでは、これらの表示をFDAに提出することになり、H.R.6903法案では内容に変更がある場合に届け出が義務付けられる。

登録と同様、成分表示はFDAに対して特定の製品が製造された施設を通知し、当局に対して有効な表示がない製品に関しては販売禁止を可能にする権限を付与することになる。S.1113法案は化粧成分が「健康に深刻な害を及ぼす影響がある」と認められた場合は当局が製造停止を命ずることができるという特定条項を盛り込む点まで含む。

深刻な有害事象に関する通知

上程されている法案では、化粧品製造業者が深刻な有害事象をFDAに報告することを義務付けている。当該法案の「有害事象」の規定は一定ではないが、化粧品の使用を原因とし、死亡や重症を避けるために医療機関の治療を必要とする健康に関連した一般的な事象である。
加えて、S1113法案およびS2003法案では、消費者の有害事象の報告先として米国内の連絡先担当者を明示したラベルを製品に張ることが義務付けられている。この情報が記載されていない場合は不正商標表示とみなされ、一時留保や輸入不許可となる可能性がある。

成分検査

上程法案が可決されれば、FDAは毎年化粧品の成分検査を実施することになるだろう。
FDAは特定の化粧品成分に関する安全データを分析し、規制なしに使用可能、一定の条件や使用目的であれば安全、または使用上まったく安全ではない、といった点を決定する。また、これらの決定事項を基に、特定の化粧品成分の使用許可を定める規則を制定する。
H.R.6903法案は化粧品としてコールタール染色剤(一般に毛髪染色に用いられている)、スチレンまたはスチレンアクリル塩酸(塗膜形成剤)、およびコカミド硫酸・ジエタノール塩酸塩(乳化剤)を含む12成分を即刻使用禁止にする可能性がある。

化粧品安全性評価に、より多くのリソースが投入されるようになると、FDAは現在化粧品に使用されている特定の成分を制限あるいは禁止する可能性がある。これらの成分を使用している事業者は製品の適合性を保持するために成分構成を再考する必要がある。

最後に

これまで述べてきたように、上程された法案中、即刻可決施行されるものはないが、これらの要件は民主・共和両党の議員が支持しており、同時に上程された規則は、FDA管掌下の他の業界に義務付けられている規則に酷似している。

法案が一つも通らない場合でも、同様の対策案が数年内に施行される可能性が濃厚である。その場合、米国で事業を継続するには適応、調整する必要があるだろう。

この内容は「パーソナルケア誌」で公開されたものです。

原文:The Future of U.S. Cosmetics Regulations
※ 原文内にあるリンク・およびリンク先につきましては省略しています。



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