FDAを模索している方へ

「FDAとは?」「FDAのメリット・デメリットを知りたい」「導入したいがノウハウがない」とお悩みの方必見! 主に化粧品にフォーカスして、海外での販売ステップを分かりやすくコラム形式にまとめました。

記事につきましてのご質問・その他ご不明な点がありましたらお問い合わせください。

10. 化粧品のHSコードと関税について②

2020/7/27 カテゴリー:化粧品、HSコード

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前回、化粧品のHSコードのお話をしましたので、今日は関税の話をしたいと思います。
HSコードさえわかれば各国の関税率は簡単に調べることができるという話をしましたが、関税率を決定させるために必要なものがあと2つあります。それは輸出国と原産地です。

製品を輸入通関する際に適用されるHSコードはひとつであっても、関税率はひとつではありません。同じ製品を輸入する場合でも、輸出国や原産地によって適用される税率が変わってくるのです。
ちなみに税率には、次の6つがあります。

  1. 基本税率(すべての国と地域に適用される基本の税率)
  2. 暫定税率(基本税率を変更する際に、暫定的に適用される税率)
  3. 協定税率(WTO加盟国・地域及び2か国間で約束している税率)
  4. GSP特恵税率(開発途上国や後進国に適用される税率)
  5. FTA特恵税率(自由貿易協定の国・地域に適用される税率)
  6. EPA特恵税率(経済連携協定の国・地域に適用される税率)

通常の貿易であればAの基本税率を使いますが、輸出国と輸入国同士で何らかの貿易協定がある場合、そこで定められた税率を使います。例えば昨年、日本と米国の間で締結された日米貿易協定で定められた製品を輸出する場合には、「輸出国」「HSコード」「原産地」の条件に合致していれば、特恵関税の税率が使えます。

なんだか面倒くさそうと思われた方、ご安心ください。アメリカ向けに関して言えば、ほとんどの化粧品には関税がかかりません。
第33類の3項から6項までは関税はフリー、7項だけ5%(2.4%~6%)かかります。
第34類についても、化粧品としてのスキンケア用せっけんについては特殊なものを除いてフリーです。大雑把に整理すると、こんな感じになります。化粧品関係で関税がかかるのは髭剃り関係のものだけ、ということになります。

◇ 関税がかからない化粧品

  • 香水、オーデコロン
  • メーキャップ用品とお肌のお手入れ用品
  • ヘアケア用品
  • お口のケア用品
  • 液状またはクリーム状のスキンケア用せっけん

◇  5%程度、関税がかかる化粧品

  • 髭剃り用品

このように、アメリカに輸出するほとんどの化粧品については関税の心配をする必要はないのですが、輸入通関で間違ったHSコードを振られてしまうと、せっかくの関税フリーの恩恵が受けられなくなります。
次回は、そうならないためのちょっとしたコツについてお話しします。


9. 化粧品のHSコードと関税について①

2020/7/17 カテゴリー:化粧品、HSコード

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"化粧品のHSコードを教えてください"

各国の輸入の関税率を調べることが目的だと思いますが、よくこの質問をいただきます。化粧品のHSコードと関税について、2回にわたってお話ししようと思います。

そもそもHSコードとは何でしょうか。
HSとは、Harmonized Commodity Description and Coding Systemの略で、世界200か国以上が加盟している「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約(通称、HS条約)」の品目表に基づいて作成されています。世界で行われている貿易実務の98%は、このHSコードを用いて行われています。輸入の際には、HSコードと原産地を確定することで関税額がきまり、各国の貿易統計もこのコードをもとに取られています。

HSコードは6桁の数字で成り立っています。最初の2桁が「類」、次の2桁が「項」、次の2桁を「号」として構成されており、この6桁は世界共通となっています。したがってどの国で輸入しても、関税率はそれぞれの国で違いますが、基本的には同じ番号(HSコード)で通関が行われます。7桁目以降は国によって細分化されていて、日本では9桁まで、米国では10桁まで記載することができます。

それでは化粧品のHSコードを見てみましょう。
化粧品は大きく分けると「33類」か「34類」に分類されます。
第33類は「精油、レジノイド、調製香料及び化粧品類」ですが、項まで見てみるとこのように区分けされています。

  • 3項(3303):香水、オーデコロン
  • 4項(3304):メーキャップ用品とお肌のお手入れ用品
  • 5項(3305):ヘアケア用品
  • 6項(3306):お口のケア用品
  • 7項(3307):髭剃り用品

メーキャップ用品の場合、33類4項に分類されますが、用途によってHSコードは変わり、それは「号」によって区別します。例えば、

  • 唇の化粧品(10号)3304.10
  • 目の化粧品(20号)3304.20
  • 爪の化粧品(30号)3304.30
  • パウダー類(91号)3304.91
  • 化粧下地・乳液(99号)3304.99

などとなります。ここまでわかれば関税率を確認することも可能です。
シャンプーやヘアラッカーなどはヘアケア用品(5項、3305)、歯磨き粉やデンタルフロスなどはお口のケア用品(6項、3306)、アフターシェーブローションや脱毛剤などは髭剃り用品の仲間(7項、3307)に分類されます。

一方、34類は、「せっけんや洗剤、ろう、ワックスなどの製品」と定義されています。化粧品の仲間ではクレンジングやせっけんがここに分類されます。ここでも、

  • 1項(3401):液状またはクリーム状のスキンケア用せっけん
  • 2項(3402):一般的な石鹸

という具合に分類が分かれ、さらに号によって細かく分類されます。
スキンケア用のせっけんと一般的な石鹸は、何が違うのかと思われると思いますが、FDA的にも大きな違いがあります。それはまた別の機会にお話しします。

HSコードさえわかれば各国の関税率は簡単に調べることができますので、ぜひ覚えておいてください。次回は、関税率のお話をします。


8. PDP(Principal Display Panel)とは

2020/7/10 カテゴリー:化粧品、ラベル

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前回のコラムで「化粧品のラベルでは、PDP(Principal Display Panel)と呼ばれる最も目に付くラベル面に関する規制がたくさんあるという話をしました。今回は、ラベル評価で一番初めに突っ込みが入る、そのPDPについて注意するべき点をお話ししたいと思います。

まずPDPについておさらいをしておきます。連邦規則21 CFR 701.10では、PDPを次のように規定しています。

The term principal display panel as it applies to cosmetics in package form and as used in this part, means the part of a label that is most likely to be displayed, presented, shown, or examined under customary conditions of display for retail sale.

簡単に言うと、PDPとは、商品をお店に並べたときに、お客様が最も目にするパッケージ面ということです。ちなみに化粧品のパッケージには四角い箱や円筒形などさまざまな形がありますので、おのおののPDPについてさらに細かな規定があります。

そのPDPに表示しなければいけない項目としては、主に3つあります。1つめが「Statement of Identity」、2つめが「Safety Warning Statement」、そして3つめが「Net Quantity of Contents Statement」です。


1. Statement of Identity

これはその商品がなんであるかがわかる表記のことです。連邦規則21 CFR 701.11では、このように書かれています。

1. 一般名称
2. 商品名
3. ロゴやイラスト

実際のラベル評価で最も指摘が入り、お客様が困惑されるのはこの部分です。
例えば日本でのラベルにかかれている一般名称が「トリートメント」だとします。日本では何の問題もありませんが、米国では「トリートメント」ではなく、「コンディショナー」という名称が一般的です。したがって、この製品を米国で販売するためにはラベル上の表記を「コンディショナー」に変更しなければいけません。このように日米間の文化の違いもあり、当たり前だと思っていた名称を変更しなければいけないことがよくあります。
また成分そのものを商品名としている場合も注意が必要です。例えば女性に人気の「炭酸パック」。商品名も炭酸パックとあるので、英語名を「Co2 MASK」と書きたいところですが、これはNGとなります。FDAのルールでは、複数の成分で構成されている製品であるにも関わらず、1つの成分だけを商品名として書くことを禁じています。


2. Safety Warning Statement

安全性に関する注意書きという意味です。その製品の成分や安全性がすでに十分に立証されている場合には不要ですが、販売前に安全性が十分に立証されていないような成分または製品の場合、下記の文言を太字でPDPに書かなければなりません。(連邦規則21 CFR 740.10)

Warning - The safety of this product has not been determined.


3. Net Quantity of Contents Statement

表示のための単位や位置、端数の処理や付属物についての記載ルールを細かく規定しています。(連邦規則21 CFR 701.13)例えば単位についてはポンドもしくはオンスで表示しなければなりません。日本の感覚では少しピンと来ないこともあります。


化粧品のラベル評価、なかなか手ごわいですよね。FDAのルールに従って修正すると、どうしても元のデザインから大きく外れてしまうこともあり、パッケージしたデザイナーにとってはちょっと残念な気持ちになってしまうこともあります。そこで、私たちは、修正したラベルを納品後、1か月以内であれば、メーカーが再度デザインし直したラベルを無償で再評価しています。パッケージやラベルは化粧品のセールスにインパクトを与える大事な要素ですので、そういったサービスをご提供しています。


7. 製品ラベルの英語化

2020/6/12 カテゴリー:FDA、ラベル

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今週からは、化粧品のFDA認証に関する実務について説明していきます。

食品やOTC DRUG、メディカルデバイスのFDA認証では、

  1. 製造施設の登録
  2. 米国代理人の登録
  3. 成分チェック
  4. 製品ラベルの英語化

といった業務が必要です。そのため、OEMで製造を委託している場合には、そのメーカーに協力してもらう必要があります。
しかし一般化粧品では、1の製造施設の登録と2の米国代理人は不要で、成分チェックを行い、FDAの定めに従って製品ラベルを英語化すればいいことになっています。

そのため、準備する書類は、

  • 英語化された成分表
  • 英語化された製品ラベルのデータ

の2種類です。
成分のチェックでは、成分そのものの可否だけではなく表示方法についてもチェックを行います。基本的にはINCIと呼ばれる国際命名法ルールに基づいた化粧品成分の国際的表示名称を使います。ここに記載のない成分が使われている場合には認証が下りないケースがあるので注意が必要です。また着色料を使用されている場合には別途注意が必要です。

英語化された製品ラベルは、下記の手順で準備を行います。

  1. 現行の製品のラベルを英語に翻訳する
  2. イラストレータ形式で保存する

これらの書類と所定の申込書をご用意いただき、認証料金をお支払いいただき、ラベル評価がスタートします。ラベル評価は米国の専門家が行います。もともとのラベルをイラストレータ形式でご用意いただくのは、このラベル評価のプロセスで、オリジナルのラベルデータを基にして修正を加えていくためです。
化粧品のラベルでは、PDP(Principal Display Panel)と呼ばれる最も目に付くラベル面に関する規制がたくさんあります。消費者が最も目にするという理由から、諸費者が誤解しないことを目的としています。たとえば、その商品がそもそも何か、また内容量の表示方法や単位、文字の大きさにまで規定があり、専門家のアドバイスを受ける必要があります。
そうした専門家の評価を経て、概ね3~4週間程度で認証作業は終了し、FDAのルールに即した形に修正されたラベルとその修正内容を詳細に記したレポートをお返しいたします。
実際に出来上がってきたラベルは、オリジナルのラベルをもとに作られているとはいえ、やはり随分とイメージが変わるものになります。お客様としては、マーケティング的にもデザイン的にもなかなか納得しがたいものが出来上がってきます。そこで、最終の評価後、30日以内であれば、私どもの評価をもとにお客様が改めてデザインしたラベルをもう一度評価しています。

そのようなプロセスを経て、概ね2か月程度で、アメリカで販売できるラベルが出来上がります。化粧品を米国に輸出する際、税関で止められる原因のほとんどはラベル不備だといわれていますが、このようなプロセスで作成されたラベルであれば、税関で止まることはありませんので、ご安心ください。


6. 閑話休題

2020/6/12 カテゴリー:アメリカ、化粧品

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アメリカの化粧品の広告をみていると、なかなか英語の勉強になります。知らないとすっと読み飛ばしてしまったり、間違った意味でとらえたりしていることがよくあります。
今日はそんな、ちょっと楽しくなるような、アメリカのコスメ広告から拾ってきた英語のお話です。今日のお題はCAKE。

アメリカの女性誌のコスメの広告をみているとよく出てくるこのcakeという言葉。例えばこんな感じです。

She looks cakey.

cakeに「y」が付いているからと言って、“彼女はケーキみたいに美味しそう”、なんて訳してはいけません。cakeyには、「粉状の」という意味があります。そこから転じて、「粉っぽい」とか「化粧のノリが悪い」という意味で使われます。だからこれは、

“彼女、今日お化粧のノリがイマイチね”

という意味になります。実際の広告を見てみましょう。

When it comes to under-eye concealer, makeup artist N.B. says never use your finger to blend, as you’ll get “gloppy” result. Use a concealer brush instead.
A formula that gives coverage, but doesn’t look cakey or dry, which emphasizes lines, is best.

メイクアップアーティストのN.Bは言います。目の下のコンシーラーだけは、“グロッピー”になっちゃうので、指でなじませないでくださいね。 代わりにコンシーラーブラシを使ってみて。粉っぽくも乾燥肌っぽくもならないこのやり方こそが勝利の方程式よ。

この日本語を、翻訳ソフトを使って英訳するとcakey ではなくpowderyになりますが、広告の世界ではcakeyという単語がよく使われるようです。

cakeがらみでもうひとつ。

That’s the icing on the cake.

Icingとはケーキのデコレーションの事です。甘いケーキの上にさらにデコレーションをする事から、すでに十分満足しているところへさらなる楽しみが重なる場合に使われます。 これが化粧品の広告になると、「あればいいけど、絶対に必要というわけではない」という意味で使われることもあります。例えば、

If you do a little tweak here and there at the doctor, that’s the icing on the cake.

お医者様にお願いしてあちこち、ちょこちょこっといじることは、悪いことではないけど、本当に必要なこととは思えないわ。

最近のお化粧やスキンケアは、よりシンプルになる傾向があります。いろんな化粧品や美容外科にいってみるのも悪くはないけど、これだけで十分よ、なんていうときに使われています。


5. OTC医薬品

2020/6/5 カテゴリー:医薬品、FDA

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一般的に化粧品と思われている物には、「Cosmetics(一般化粧品)」「OTC Drug(OTC医薬品)」があります。OTCとは医師の処方箋が不要で、薬局や薬店の対面販売(Over the Counter)で購入可能な医薬品のことを指します。日本の薬機法でも、医師による処方箋が必要な薬を「医療用医薬品」、OTC医薬品を「一般用医薬品」と呼んで、分けています。
OTC医薬品を効能のある化粧品とか、医薬部外品の一種と思っておられる方が結構多いようですが、そうではありません。ちなみに医薬部外品は、医薬品と化粧品の中間に位置するものとして薬機法の規制に含まれていますが、実は世界では余り例の無い日本独特の制度なのです。

OTC医薬品には、ダイレクトOTC医薬品とスイッチOTC医薬品の2種類があります。ダイレクトOTC医薬品とは、医薬品として承認された新規有効成分が医療用としての使用経験なしで、直接(ダイレクトに)市販薬として販売を許されたものです。
一方、スイッチOTC医薬品とは、医療用医薬品として長年使用されてきた結果、有効性や安全性が確立され、市販薬としても販売されるようになった医薬品のことを言います。
FDAではOTC医薬品については、その治療薬の種類と有効な成分を厳格に定めています。その有効成分の条件を定めた公的な承認基準のことを「モノグラフ」と呼びますが、連邦規則集に各治療薬別に掲載されています。現在、整腸剤や下痢止め、吐気止め、睡眠薬、目薬、虫歯予防剤などの有効成分について、20種類のモノグラフが公示されています。
FDAは成分以外に、製品ラベルに書かれている文言(CLAIMといいます)についても規定しています。例えば一般化粧品に次のような文言を書くとOTC医薬品とみなされるので注意してください。

  • Age spot elimination (シミ・そばかすを消す)
  • Wrinkle reduction/erasure (しわをなくす)
  • Collagen building (コラーゲン生成)
  • Circulation increase (血行を良くする)
  • Elimination of puffiness (むくみをとる)
  • Whitening of skin (お肌の美白)
  • Skin repair (お肌の修復)
  • Stretch mark reduction (妊娠線、肉割れをなくす)
  • Hair growth (発毛、育毛)
  • Sun damage treatment(日焼け対策)

OTC医薬品にはさまざまなものがあります。そういったものの中には、フッ化成分を含む歯磨き粉や薬用シャンプーなど一般化粧品と重なるカテゴリーがあります。FDAの認証に関して言えば、OTC医薬品と一般化粧品ではまったく手順や準備する書類が異なりますので、化粧品を海外へ輸出しようと思ったら、まず初めに確認しておきたいのが、一般化粧品かそれともOTC医薬品かという点です。

ご不明な点がありましたらお気軽にお問い合わせください。


4. 化粧品とはなにか

2020/5/22 カテゴリー:化粧品、FDA

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そもそも化粧品とはなんでしょうか。
日本の法律、薬機法では、化粧品を次のように定義しています。

「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他それに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。」
(医薬品、医薬機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、第2条3)

実はFDAが定める化粧品の定義も、これとよく似ています。

「人の体に塗る, 馴染ませる, スプレーする等により, 体をきれいに美しくし, 魅力を高め, または外見を変えるためのものであること」としています。
FDA defines a cosmetic as a product (excluding pure soap) intended to be applied to the human body for cleansing, beautifying, promoting attractiveness, or altering the appearance.
https://www.fda.gov/industry/regulated-products/cosmetics-overview

製品評価技術基盤機構は、化粧品を次の6種類に分類しています。

  1. スキンケア化粧品(洗顔料、メーク落とし、化粧水、美容液、乳液、美白、日焼け止めなど)
  2. メークアップ化粧品(口紅、アイシャドウ、頬紅など)
  3. ヘアケア化粧品(シャンプー、リンス、トリートメント、整髪料、パーマ剤、染色・脱色、育毛製品など)
  4. ボディケア化粧品(ボディシャンプー、ハンドソープ、デオドラント製品、入浴剤など)
  5. 歯磨き剤
  6. フレグランス化粧品(香水、オーデコロンなど)

入浴剤や歯磨き剤も化粧品に含まれていますが、これらの製品をアメリカで販売するためにはFDAのルールに従わなければいけません。

ところでFDAの化粧品に関する規制で、製品の一番目立つ面(Principal Display Panel、PDPといいます)の表示方法についてのこんなルールがあります。

「2つ以上の成分を含む化粧品のラベルに表記する製品名には、消費者が誤解しないように、すべての成分ではなく1つ以上の名前だけを名前にしたり、または思わせるような名前を表示したりしてはいけない。」

日本では、「はちみつ」や「へちま」、「はとむぎ」など、成分名を冠した製品があふれていますが、それ以外の成分が入っている場合にはNGとなります。この点などは日本のルールと少し違いますよね。これ以外にも内容量の単位や字の大きさなどにも細かな規定があります。FDAの管轄が宣伝広告にまで及んでいることが、このことからもわかります。ラベル表記に関しては、ぜひ専門機関でのアドバイスを受けることをお勧めします。

もうひとつ注意しなければいけないのが、OTC医薬品の件です。アメリカでもOTC Drugといわれます。OTCとはOver The Counterの略で、カウンター越しで販売してよい薬のことです。かつては大衆薬とか市販薬といわれていましたが、今はOTC医薬品という名前に統一されています。化粧品の中には、その成分や用法、効果によってOTC医薬品とみなされるものがあり、FDAに関しては化粧品とは全く違う手続きとなります。

次回はそのOTC医薬品についてわかりやすくお話しします。


3. FDAについて

2020/5/15 カテゴリー:アメリカ、FDA

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アメリカの化粧品マーケットに乗り込むのであれば、まずFDAのことを知っておく必要があります。FDAという名前はなんとなく聞いたことがあるかとは思います。日本でいえば、薬事法、現在の薬機法(正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます)に近いイメージをお持ちの方も多いでしょう。

FDAとは、アメリカ合衆国保健福祉省配下の政府機関で、アメリカ食品医薬品局(FDA, Food and Drug Administration)のことを指します。連邦食品・医薬品・化粧品法を根拠として、食品、薬品や化粧品に関する法律の施行に携わる政府機関として、アメリカで販売される食品、飲料、化粧品、医療機器、薬品、放射線機器、獣医動物関係製品を管轄しています。FDAはそれらの製品のアメリカ国内での流通における「ルールの策定」と「監視と取り締り」を行っている機関と言い換えることもできます。輸入のルールではなく、流通に関するルール、というところがポイントです。流通に関するルール、ということはつまり、アメリカ国内の市場で食品や化粧品を売るためのルールということです。

アメリカに住む個人が、日本のショッピングサイトで購入した化粧品をEMSか何かでアメリカに送るのであれば、FDAは出てきません。それは日本のマーケットの話だからです。(明らかに個人ユースを超える量で、アメリカに到着後に再販される、つまり流通に乗せられる恐れがあると思われる場合は、FDAが乗り出してきます。)

それでは、アメリカのECサイト、例えばAmazon.comで化粧品を購入し、日本の在庫からアメリカの個人宛に送るという場合はどうでしょうか。この場合は、アメリカの流通で販売しているので、FDAの管轄となり、彼らの定めたルールに従わなければなりません。FDAがアメリカ国内の流通を管理しているというのはそういう意味です。

しかしFDAというとどうしても輸入通関の時にでてきそうな感じがします。そのとおりです。FDAのルールに違反していないかどうかの確認がされる最初の関門は税関です。

日本の税関を例にとりましょう。外国貨物を日本に輸入する際、税関は関税法という法律に従ってその貨物の輸入を判断します。しかし、関税法だけで輸入の許可を出すわけではありません。日本に輸入される外国貨物には、輸出貿易管理令や薬機法、ワシントン条約といったたくさんの法律や条約がたくさんあるので、税関はそういった関連するすべての法律や規定で許可されているか、承認されているかを確認したうえで輸入の判断を下します。

アメリカの税関も日本と同じで関税法にのっとり輸入の審査を行います。それとは別に、例えば食品や化粧品であれば、FDAの定めた法律である食品安全強化法やバイオテロ法といった法律を参照します。そこでFDAのルールに準拠していることが証明されなければ、税関は許可を出さず、その製品は税関に留め置かれることになります。

次回はFDAのルールにもう少し踏み込んでみることにしましょう。


2. どの国を狙いますか?

2020/5/8 カテゴリー:アメリカ、FDA

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化粧品の市場規模はざっと35兆円です。ワインの市場規模の10倍、ビール市場の6掛けといったところでしょうか。とにかく女性の美に対する想いはすさまじいものがあります。 その中で、最大の市場はアジア・太平洋エリアです。このエリアには25を超える国があり、40億人が住むといわれていますが、そこでは年間13兆円もの化粧品が消費されているそうです。そのため、化粧品の輸出を考えたとき、多くのひとがまず思い浮かべるのがアジアです。日本にも近く、民族的にも日本に近いアジアを狙いたくなるのが人情というもの。13兆円というアジアは確かに魅力的な市場です。日本製品が大好きな中国や超親日派として知られている台湾などもあり、検討の価値は十分あります。

化粧品の市場規模で、アジアに次ぐ2番目の消費国はアメリカです。アジアの10分の1の人口ですが、世界で生産される化粧品の25%、約10兆円の化粧品を消費しているそうです。当然、輸入量も世界一。住んでいる人も白人、黒人ヒスパニックにアジア人まで世界中の民族が全員集合していることもあって、あらゆるタイプの化粧品が売られています。 それではヨーロッパはどうでしょうか。化粧品の生産量と輸出量が最も大きいのは、実はヨーロッパです。世界の化粧品の輸出量の50%は欧州から輸出だと言われています。

それではどこをターゲットにすればいいのか。

13兆円というアジアは確かに魅力的な市場です。日本製品が大好きな中国や香港があり、すぐお隣の台湾も超親日派として知られているので面白い市場ですが、アジア全体で考えると25以上の国があり、中には化粧品の輸入に厳しく対応している国も少なくないので、エリアで考えると輸出初心者にはちょっと手ごわい市場といえるかもしれません。化粧品の場合、輸入通関の際にその国独自のさまざまな法規制をクリアする必要があります。規制以外にも、言語や習慣、人種、気候、宗教にも配慮しなければいけません。国を欲張ると準備にとても時間がかかるため、国を絞るということ、そしてどこの国を選ぶかということは大事なキーワードです。

そういう観点から、私はアメリカからスタートすることをお勧めしています。理由はいろいろありますが、例えば、

  • 規制がFDAだけでわかりやすい。配送方法も郵便、クーリエ、航空貨物・海上貨物などが選べる
  • 多くの民族が暮らしており、アジア人もたくさん住んでいるが、英語だけで十分
  • Amazonを活用すれば、初期コストを抑えて販路を確保できる。FBAを活用すれば配送もCSも手離れする
というように「物流」「コミュニケーション」「ターゲット」「販路開拓」といった面で大きなハザードがないことも、お勧めする理由です。

アメリカは、皆様の狙っているゴールではないかもしれません。本命はあくまでアジアと思っている方も多いでしょう。だからこそ、まずアメリカからスタートして、アメリカの中のアジアンマーケットに訴求したのち、いろいろわかったうえで本命の中国や香港、台湾に切り込んでみる、そんな視点も面白いと思います。


1. 化粧品の輸出をはじめたい!

2020/5/1 カテゴリー:化粧品、FDA

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30年ほど前、はじめてニューヨークに出張したときに、マンハッタンのブルックス・ブラザーズの本店に行って紺ブレを買いました。オックスフォードのボタンダウンのシャツに左下がりのレジメンタルのネクタイも合わせてもらって、確か1000ドルぐらい払ったと思います。本当に欲しかった正統派のアイビールック。表参道のブルックス本店でもなかなか買うことのできない、本物の3つボタンの紺ブレは、VAN世代の私にとって最高の逸品です。ホテルに戻った後、お店でもらったロゴ入りの木のハンガーにシャツとネクタイを合わせて吊って一人で悦に入ったものでした。

さて、化粧品の話。
世界のコスメティクス・トレンドは、ここ1年でK-ビューティ(韓国コスメ)からJ-ビューティ(日本コスメ)へとシフトし、日本の化粧品への関心が世界中で急激に高まってきています。特に品質や成分に敏感なアメリカの女性たちはこぞって日本のコスメ情報を集めているようです。ところがせっかくよさげなコスメを見つけても正規に海外に進出しているメーカーはまだまだ少なく、簡単には手に入りません。観光やビジネスで日本に出張したときに空港で買うぐらいしか手がないようです。確かに、成田空港の免税品店では、コスメの売り場で女性たちが血眼になって商品をさがしている姿をよく見ますが、そこでもお目当ての化粧品がなかなか見つからないようです。

さてそんな中、
    ″うちもそろそろ海外に展開したい!″
    ″でも何から始めればいいのかな″
    ″FDAって何″
そう考えているなかなか動けていない化粧品メーカーの方も多いと思います。ポストコロナや2020年のホリデーシーズンを見据えて、そろそろ準備をはじめてみてはいかがでしょうか。

このコラムでは、化粧品を海外、特にアメリカに売っていくためのイロハを、手順を追いながらご説明します。FDAのこと、Amazonのこと、輸出の方法や関税の仕組み、コスメの世界の英語などについて、書いていこうと思います。


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