2025/8/25
最近話題の米国の新関税の仕組みについて、少し勉強したいと思います。新しい関税につきましてはニュースでも報じられていますが、どうやら最終的には次のように決まりそうです。
- 米国東部時間2025年8月7日午前0時1分以降に通関した貨物については、一般関税率(MFN税率)が15%未満の場合は一般関税率と相互関税率を合計して15%とし、一般関税率(MFN税率)が15%以上の場合は相互関税率をゼロとする。
- 但し、米国東部時間2025年8月7日午前0時1分より前に積載港で船舶に積み込まれ、最終輸送手段で輸送中であり、かつ同10月5日午前0時1分までに通関した貨物に対しては、ベースライン関税10%が適用される。
多くの食品については、一般関税率が0~15%なので、15%という税率に落ち着きそうです。
ただ、もともとの関税率が0%だった抹茶やお酒については、いきなり15%の関税がかかることになり、今後のお取引にかなり影響が出るかもしれないので、まずは関税についてしっかりと理解しなければいけません。
まず関税の計算方法についておさらいしておきます。
おおよその関税額は商品代金に15%をかけることで知ることができますが、今日はもう少し細かく勉強してみましょう。
関税を計算するには、まず計算のもととなる商品の関税評価額(課税標準といいます)を算出しなければいけません。課税標準の決め方にはいろいろな方法がありますが、ここでは一番ポピュラーな方法である「取引価格から課税標準を決める方法」をご説明します。
輸入貨物の「取引価格」とは、その輸入取引に関し、買手から売手に対して現実に支払われた価格(現実支払価格といいます)から、国際輸送に関して発生した輸送費や保険料、関税、その他の連邦税、物品税を差し引いたもの、いわゆるFOB価格を指します。
そのFOB価格に改めて輸送費と保険料を加えた価格、いわゆるCIF価格が課税標準となります。
課税標準はドル建てで算出しますので、FOB価格がドル以外の外国通貨建ての場合は、船荷証券記載の輸出日時点の公定換算レートを適用してドル建ての価格を計算します。
例を挙げてみます。
FOB価格が5,000ドル相当の加工食品を新関税率(15%)で輸入するとします。
そうすると、
輸送費、保険料については、個別の算出が難しい場合が多いので、実際の輸入現場ではFOB価格を単純に1.1倍した価格を課税標準とすることが多いようです。
この計算式からわかるように、商品代金のみならず、輸送費や保険料にまで15%の関税がかけられるということになります。これまで関税率が0%だった抹茶や加工食品については、関税額もゼロでした。しかし今後は15%の関税がかけられることになるので、商品代金だけでなく運賃や保険料にも関税がかかります。
上記の例でも、実際の関税率は15%ではなく16.5%になっています。今後の商談では、取引条件についてもより明確に詰めておくことが重要です。
インボイス価格が$2,500を超える場合、輸入申告に際して関税の支払いを担保する「Customs Bond(カスタムボンド)」の購入を通関業者が求めることがあります。
カスタムボンドは、輸入者が関税を支払えなくなった場合でも、税関が関税を回収することを保証する制度です。
カスタムボンドには、一回限りの輸入に使うシングルボンドと1年間何度でも利用できる年間ボンドがあり、いずれも通関業者を通じて購入します。
シングルボンドの場合はインボイス価格の約0.5%(最低$50)、年間ボンドは約$500ですが、商品によって追加の要件もあるので、事前の確認が必要です。
関税は、輸入貨物を保税上屋から引き取る際に、通関業者が税関に支払います。これは取引条件がFCAであろうがDAP(DDU)であろうがDDPであろうが変わりません。
取引条件がFCAの場合、関税や運賃が着払いとなりますが、一般的には通関業者から輸入者に連絡が行き、そういった費用(運賃、輸入諸掛り、関税)の支払いが行われた後、配送されることなります。日本のように月末締め、翌月末日支払いといったことはほとんどなく、後払いになるとしてもすぐに小切手などで支払われるようです。
一般貨物(航空貨物、海上貨物)でFCAといった取引条件の場合には、事前に指定の通関業者があるかどうかを確認しておいてください。到着後、輸入者が通常使っている通関業者に輸入業務が引き継がれることで、関税や運賃の支払いに関するトラブルもなくせます。
一方、DAP(DDU)など関税や運賃の支払いが元払いの場合も、一時的には通関業者が立て替えることになります。通関業者によっては、貨物のリリースは先払いを条件としていることも多いので、一般貨物(航空貨物、海上貨物)扱いでDAP(DDU)の場合、輸入通関の引き受けを拒否されることがあります。運賃や立替関税の精算方法を含めた通関業者については、輸送業者経由で事前に確認しておきましょう。
関税の仕組みはわかりにくく、輸入におけるトラブルの原因のひとつでもあります。
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